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【NGEO ピックアップ!#13】小さな世界の豊かな生態系
こんにちは!今月もナショナル ジオグラフィック最新号から気になる記事を御紹介させていただきます。

それは私たちが普段目にも留めない小さな小さな生物たちについてです。

皆さんは、1辺の長さが30センチの立方体の中に、どれだけの生き物がいると思われますか?

この記事では、その答えを求めて、世界中のサンゴ礁や熱帯雨林、渓流に繰り出しリサーチがなされました。

小さな生態系は、私たちのごく身近にあり、人類の存続にとって欠かせないものであるにもかかわらず、意外なほど調査や研究が進んでいません。

地上に立っていても、森の木に登っても、水中に潜っても、目にとまりやすいのは大きな生き物なのです。

当然といえばそうなのですが、私たちはまず、鳥、哺乳類、魚といった生物に目を奪われてしまいます。

 
でも、目をよく凝らして1カ所をじっと見ていると、小さな生き物が少しずつ存在感を増していきます。

子供の頃、ほとんどの人が経験されたことかもしれません。
それは、雑草のあいだにいる無数の昆虫を捕まえようとしたり、土を掘り起こして身をよじらせるミミズや名も知らぬ虫を発見したり。
石をひっくり返せば、クモの子がはいまわり、甲虫が日の光を避けるように地面に潜り、ダンゴムシが身を守ろうと丸くなります。

大人になって、そんな生き物たちのことを、気持ち悪いだけだと思う人もたくさんいらっしゃることでしょう。

あるいは、こうした生き物がすむ小さな世界に対して全く関心を失い、そんなもの人間とはまったく関係がないと考える方も少なくないと思います。

ですが、土にすむ生物は、細菌など目に見えない微生物も含めて、私たちとは切っても切れない関係にあります。

それどころか、地球の生命の中核を担う大切な存在なのです。

この記事では、その無数の小さな生き物を拡大した写真を本当にたくさん掲載しています。

写真で紹介しているような小さな生き物たちがいなくなってしまったら、環境は劇的に変化する、ということを私たちは忘れてはいけません。
土壌や河床の化学組成は単純になり、空気中に含まれる酸素や二酸化炭素などの気体の割合も変わってくるのです。
それどころか、物理的な均衡状態さえ変わり、地球はどこか遠くの不毛な惑星と同じになってしまう可能性さえあるのです。

記事の中にこんなコメントもありました。

“地面にショベルを突き刺したり、サンゴの先端を少しだけ折ってみる、たったこれだけで、目に見えない境界線を越え、“神の手”で世界を分断したことになると言える。”

そんな経験を大人になった今こそ楽しめるでしょうし、地球の未来のために、子供たちにも体験させてあげたいものです。
NATIONAL GEOGRAPHIC(US) 10FEB 880円(税込み924円)
ケリー縫子  (2010/02/03)