ペイント |
この表紙の牛さんと目が合いはっと頭をよぎったのは、
10年近く前、パリで購入した木製の牛のオーナメントです。
スイスからクリスマス前のパリに女性の作家さんが、
売りにいらしていた物で、カラフルで可愛らしい
ペインティングがされた2匹の牛さんたち。
以来、我が家のクリスマスには毎年欠かせない存在です。
牛のモチーフは数多くあれど、あの牛でもこの牛でもなく
この本に描かれた正にその表情、
大事なオーナメントの牛さんたちの母親を見つけた様な心境でした。
そして、オーナメント自体はこの本で扱っているポヤという手工芸ではないと思いますが、何だかどこかでルーツが繋がっているのではと思えてならず、ポヤについて無性に知りたくなりました。
幾度と挫折しているフランス語、牛さんたちから、
ちゃんと勉強して!と言われている様。
そして、せっかくの図案、是非挑戦してみたいです。
こちらの本を購入したちょうど翌日の朝刊のコラムに、
計らずも新しい一冊に出会うのも本探しの楽しさだ、とありました。
私の予期せず一冊は、牛さんが呼び寄せてくれました。
人生、生活の中で事ある毎に整理の対象になりがちな本、
幾度となく振るいにかけられて、今の私の本棚に残った本は
これ以上選別できない自分の分身の様な存在です。
その中の一冊に、GORODETSというロシアの手工芸、
一種のトールペインティングについての本があります。
この本はモスクワのとあるお店で見かけた木製の大胆な
絵柄の小さな家具に心を奪われ、その手法を知りたく何軒もの
本屋を周り、平屋の広大な書店の一角の上段にハシゴを登り
漸く見つけた大切な本です。
手にした時はどれほど感激した事か!
こちらの本の表紙を見た瞬間、一瞬、一瞬ですが確かに
そのモスクワの書店にタイムトリップしました。
音楽の旋律や香りでよくある様な事ですが、本でもこんな事が
あるのですね。
フランスとロシアでのモチーフの表情の違いを楽しみつつ、
素朴な中にあたたかさと大地を思わせる力強さを感じる木に描く
トールペインティング、益々好きになりました。
そして、小さなサプライズも。掲載されたお部屋の壁をよく
見るとバイユーのタペストリーが飾られいるではないですか。
これはまた私が大好きなモチーフで、飾る場所を考えず我が家へ
持ち帰りたい一心で購入したタペストリー、クロスステッチを刺した小箱とあり、当然書籍も選別できない一冊として持っています。
このご縁、私の本棚に来るべくして来てくれたのでは、と今は
嬉しい気持ちでいっぱいです。