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ライター:深尾 奈美恵
カテリーナ・デ・メディチ刺繍の本 16世紀にイタリアから嫁いだカテリーナ・デ・メディチ(フランス語名: カトリーヌ・ド・メディシス)がフランスに持ち込み、流行したというイタリアの刺繍。 白色の太糸や目の粗い布を用いることが多く、基本的にホルベインステッチで刺します。浮き上がったような仕上がりの幾何学模様が特徴的です。 本書は、作品ごとにチャート図案も大きく表示してありわかりやすいです。 **ベージュや白の生地にオフホワイトやクリーム色の糸で刺す、上品で美しい作品(個人的には一番好きです!) **色糸を使ってイタリアらしい柄を刺したモダンな作品 **フィレの上に刺した作品 **透明感のある生地の上に刺して透け感を楽しんだ作品 など、カテゴリーごとに作品が紹介されています。 ※カテリーナ・デ・メディチ刺繍のそのほかの書籍はこちら↓ 『UNA FILZA. PENSANDO A CATERINA DE' MEDICI』 カトリーヌ・ド・メディシス刺繍、カテリーナ刺繍 ページ数:128 出版社名:Nuova S1 著者名:Rosalba Pepi 言語:イタリア語 |
カテリーナ・デ・メディチ刺繍に興味を覚え、購入してみました。
素晴らしい内容です。
最初に歴史的な解説や材料・道具・技法についての説明が合わせて23ページ(全部イタリア語です)。残りが作品写真と図案です。作品番号は33番まで振られていますが、ひとつの番号に複数デザインがまとめられている箇所もあるので、デザイン総数はもう少し多めです。
表紙写真のようなモダンな幾何学模様と、中近世っぽい動物モチーフなどのデザインが混在しています。サイズは小物向けの小さなモチーフから大作まで。サンプラー的なデザインもあります。
各作品に添えられた説明は「○○色のリネンに××の糸で刺しました」程度のざっくりした内容のみで、作品のサイズ、仕立て方等の情報は掲載されていません。自分で好きな材料を使って好きにアレンジしてねということなのでしょう。
具体的にどのような材料を使っているのかという点も知りたかったので、辞書を片手に説明ページを解読しました。この本では6~11目/1cmの薄手リネンキャンバス布と、綿・絹・ウールの糸が使われているとのこと。
更に、材料のキーワードと思われる単語を拾い出してあれこれネット検索してみました。現地イタリアでは、buratto(ブラット)という6目/1cmのリネンキャンバス布にcotone povero(コトーネ・ポーヴェロ)という太い綿糸で刺すのが標準のようです。どちらも日本には入ってきていなさそうなので、代用品を探すしかなさそうです。
技法的にはブラックワークと同じホルベインステッチですし、以上に挙げた情報を踏まえれば、イタリア語が読めない方でもあまり悩まずチャレンジできるのではないかと思います。オススメです。